睡眠

筋肉を増やすための最適な睡眠時間とは?ダイエット効果も向上する理由

筋肉を増やしたいなら、トレーニングだけでなく、睡眠も重要な要素です。

実際、睡眠時間が筋肉の成長やダイエット効果に大きな影響を与えることが研究で明らかになっています。

この記事ではテストステロンレベルの変化、筋タンパク質の合成、そして睡眠不足がどのように筋力や体脂肪に影響を及ぼすのかについて、詳しく解説します。

効果的なダイエットと筋肉維持のために必要な睡眠の秘密を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

睡眠不足と筋肉:その影響は?

筋タンパク質の合成

睡眠不足は筋タンパク質の合成に悪影響を与えます。

4時間睡眠と8時間睡眠を比較した研究では、睡眠不足が筋タンパク質の合成を19%程度低下させることが明らかになっています。

これは、筋肉の修復や成長が遅れることを意味します。

筋力トレーニングへの影響

筋肉量を増やすためには効果的な筋力トレーニングを行う必要があります。

しかし、連続した夜の睡眠不足(3日〜1週間以上)は、多関節運動の筋力を減少させます。

つまり、筋肉量を増やすのに効果的なベンチプレスやスクワットなどの複数の関節を使う運動の効果が落ちるのです。

女性アスリートの研究

2022年のディーキン大学の研究では、普段筋トレをしている10名の女性を対象にして、5時間睡眠と7時間睡眠の比較検討を行いました。

結果として、睡眠時間が短いと筋力・トレーニング量がわずかに減少し、コルチゾールが42%増加、トレーニングストレスが82%増加しました。

さらに、知覚された努力の量も11%増加し、筋力が低下しトレーニングボリュームが落ちることが分かりました。

男性アスリートの研究

2020年にビクトリア大学が行った研究では、24名の男性を対象に、4時間睡眠と8時間睡眠の追跡調査を4日間行いました。

結果は、摂取カロリーやタンパク質量が同じ条件でも、筋タンパク質の合成が19%程度低下しました。

テストステロンの重要性

筋肉量を増やす為にテストステロンの存在は欠かせません。

テストステロンは、筋肉の成長や維持に欠かせないホルモンです。

また、このホルモンがしっかりと分泌されることで、筋肉が効率よく発達し、ダイエット効果も高まるのです。

睡眠時間とテストステロンの関係

驚くかもしれませんが、睡眠時間とテストステロンのレベルには深い関係があります。

研究によれば、日常的に4時間しか眠らない人はテストステロンレベルが低く、一方で8時間眠る人は高いことがわかっています。

さらに、睡眠時間が1時間増えるごとにテストステロンレベルが約15%増加することが報告されています。

つまり、質の良い睡眠を確保することが筋肉の成長には不可欠なのです。

テストステロン減少のリスク

特に20代〜30代の若い世代でも、睡眠時間が不足するとテストステロンの大幅な減少が見られます。

この減少は、筋肉量やトレーニングの効果に直結します。

若い世代であっても、睡眠不足が筋肉の発達を妨げる原因となるのです。

ダイエットと睡眠

ダイエット効果の比較

2010年の研究では、8.5時間と5.5時間の睡眠時間で14日間の減量生活を比較しました。

8.5時間睡眠では脂肪量が1.4kg減少し、筋肉量が1.5kg減少しました。

一方、5.5時間睡眠では脂肪量が0.6kg減少し、筋肉量が2.4kg減少しました。

これは、短い睡眠時間が脂肪の燃焼を妨げ、筋肉の減少を促進することを示しています。

成長ホルモン

成長ホルモンは、代謝、免疫、認知機能などに関わる非常に重要なホルモンです。以下に、その具体的な役割をまとめました

1. 細胞の修復と再生

• 老化や損傷した細胞を修復し、再生させます。

2. 骨の形成とタンパク質合成

• 肝臓に働きかけ、IGF-1(インスリン様成長因子-1)を分泌させることで、骨の形成やタンパク質の合成を促します。

3. 疲労軽減

• 成長ホルモンは疲労を軽減し、日々の活動をサポートします。

4. 意欲向上

• モチベーションや意欲を高め、日常生活の質を向上させます。

5. 脂肪燃焼と体脂肪減少

• 代謝を促進し、脂肪をエネルギーとして利用しやすくする働きがあります。特に中性脂肪を遊離脂肪に変換し、脂肪を燃焼しやすくします。

成長ホルモンと脂肪燃焼

成長ホルモンには、体内の中性脂肪を遊離脂肪に変換し、エネルギーとして利用しやすい形にする役割があります。

これにより、お腹周りや足周りに蓄積した脂肪が燃焼されやすくなり、わずかな運動でも多くのエネルギーが産生されるようになります。

成長ホルモンの作用で使いやすくなった脂肪は、睡眠中にもどんどん消費されていきます。

成長ホルモンの分泌と筋肥大

成長ホルモンは肝臓に働きかけ、IGF-1(体の成長や発達に関与するホルモン)の分泌を促し、これが筋肥大をサポートします。

さらに、肌のターンオーバーを助け、免疫力の向上にも寄与します。

そのため、アンチエイジングには欠かせない存在です。

成長ホルモンの分泌と年齢

成長ホルモンの分泌は主に睡眠中に行われますが、年齢とともにその量は減少します。

30〜40歳代ではピーク時の3分の1程度、60歳ではピーク時の7分の1程度にまで減少します。

この減少が、疲労回復の遅れ、筋肉量・骨量の低下、肌の衰えなどの老化現象を引き起こします。

成長ホルモンの分泌を促す方法

成長ホルモンの分泌を増やすための具体的な方法をいくつかご紹介します:

1. 無酸素運動

• 無酸素運動は成長ホルモンのレベルを大幅に上げる最も効果的な方法の一つです。無酸素運動で生成される乳酸が脳の下垂体を刺激し、成長ホルモンの分泌を促します。例えば、ウエイトトレーニングやスプリントなどが効果的です。

2. 睡眠の質を高める

• 成長ホルモンは入眠後90分〜2時間の間に最も多く分泌されます。質の高い睡眠を確保することで、成長ホルモンの分泌が最大化されます。

3. 夜間のタンパク質摂取

• 夜にタンパク質を摂取すると、アルギニンやオルニチンが成長ホルモンの分泌を促進します。特に、寝る前に適量のタンパク質を摂ることが効果的です。

4. 夜間の食事を控える

• 夜遅くの食事は成長ホルモンの分泌を妨げるため、夕食は早めに済ませるよう心がけましょう。

睡眠の質を高めるためのヒント

質の高い睡眠を確保することは、筋肉の成長やダイエット効果を最大限に引き出すために非常に重要です。

ここでは、睡眠の質を高めるためのいくつかのヒントをご紹介します。

1. 規則正しい睡眠スケジュールを守る:毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることで、体内時計が整い、質の良い睡眠が取れるようになります。

2. リラックスするルーティンを作る:寝る前にリラックスするためのルーティンを取り入れることで、スムーズに眠りに入ることができます。例えば、読書や軽いストレッチ、瞑想などが効果的です。

3. 寝室の環境を整える:静かで暗く、涼しい寝室を作ることで、快適な睡眠環境を整えることができます。

4. カフェインやアルコールの摂取を控える:カフェインやアルコールは睡眠の質を低下させるため、寝る前の数時間は避けるようにしましょう。

5. 適度な運動を取り入れる:日中に適度な運動をすることで、夜の睡眠が深くなります。ただし、寝る直前の激しい運動は避けるようにしましょう。

まとめ

十分な睡眠は筋肉の成長と維持、そしてダイエットの成功に不可欠です。

4時間の睡眠と8時間の睡眠では、筋タンパク質の合成、筋力トレーニングの効果、脂肪減少の面で大きな違いがあります。

質の高い睡眠を確保することで、健康的なライフスタイルの基盤を築き、筋肉の成長やダイエット効果を最大限に引き出すことができるのです。

最後に、睡眠を疎かにせず、自分の体と向き合いながら、健康的な生活を送ることを心がけましょう。

皆さんもぜひ、良質な睡眠を大切にして、より健康的な体作りに取り組んでくださいね!

ABOUT ME
カズヤ
病院で理学療法士(リハビリ)として勤務。 共働き世帯が増えて行くなか、子育てや仕事を両立することが難しくなってると思います。そんな悩みを解決できるように主観だけではなく、書籍や今の仕事の知識をいかして客観的にも発信できないかと思い、執筆をしています。 絵を描くことが趣味でここにあるイラストは自分で描いているものになります。